高齢(35歳以上)での妊娠、出産についてご質問いただきました。
そのリスクと、どうやって身体を調えることをかんがえていくのか、ファイルを
作ってみました。
妊娠に一番必要なのは、体の土台となる生命力、東洋医学の世界では、腎気、臍
下丹田の力と表現します。この説明からはじめましょう。
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臍下丹田の力とは、身体の土台となる生命力という意味です。
東洋医学の世界では、腎気などともとらえます。
この腎気の力は、子ども時代から成長し、一番盛んな
生殖年代である大人の時代をすごし、老齢期に入ると
少しづつ衰えるとされます。また、とくに生殖関係では
深くその機能に関与します。腎気の充実した時代に生殖年齢が
あるわけです。
高齢出産の場合、自然の流れの中でも腎気の衰えが
出始めるときであり、それに出産という気血の大きな虚損が
重なります。
生殖機能を充分に発揮する、とくに出産という大イベントには、
充分な腎気が必要なのに、年齢的に腎気が減少し始めている。
こういった背景により、東洋医学的に考えると、高齢出産は、
普通の出産よりもハイリスクであると把えることができます。
また、出産後は、腎気の下支えさえあれば、大きく失った気血を
”生理的”な範囲で回復してくる時期です。
これが、腎気の下支えが不足していると、大きく失った気血の虚損を回復でき
ず、これに疾病要因が入り込むと、回復がなかなか困難な産後の問題が
発生してくるわけです。
産後の問題は、大きな虚損の中で、下支えの腎気(生命力)の不足が根本原因
で発生した病なので、なかなか治り難いケースが多いわけです。
ニュースで報道されている、線維筋痛症の大杉君江さんの場合もそうですし、うつ、
リウマチ、喘息なども出産を契機に発症するというのは、こういう
背景からです。
現代人は、腎気、臍下丹田の力が衰えがちです。
若年性の脳血管障害、若い世代からの成人病、そして赤ちゃんが
小さく生まれることも腎気の衰えが問題だと私は考えています。
私がお付き合いして妊婦さんになった方には、出来れば、妊娠中に
なるべく腎気の虚損を小さくなるように(妊娠はただでさえ、腎気を
つかっていくものなのです)そして、年齢の高い方の場合は
それにくわえて、少しでも腎気を貯金できればと治療をすすめています。
これは出産時点でなるべく充実していることが、出産そのものにも
よい影響を与えますし、産後の状態にも貢献できます。目に見えない部分です
が、少しでも腎気を上げる時期は、妊娠中のいましかないと思います。
以下の症例の方は、高齢(出産時35歳)のうえに、やせもあって、週に2回
の治療を行った方です。ご参考まで。
腎気を養うための妊娠中の手入れの目安は、週に一回ぐらいのペースで考えて
いければと思います。この上に、特に年齢が高い、身体の状態が悪い方などは、
上記の症例の方のように、週に2回などペースを上げることも必要かと思います。
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..症例4)やせた方の妊娠フォローの症例(BMI15.6)
主訴:不妊
身長156センチ、体重38キロ
子供のころから胃弱、冬が特につらく、10月ごろから体調が悪い。
夏はいつも体調悪化、体重が減るとなかなか戻らない。体力もない感じがする。
妊娠を希望しているが、自分の体力に自信がないし、ちゃんと赤ちゃんがお腹でそだってくれるのかも心配。
32歳結婚
33歳フルタイムの仕事をやめる
34歳妊娠
妊娠前、身長156、体重38キロ
...治療方針。
1)妊娠に向けて
胃腸の状態が悪く、食べ物をしっかりと受け取り、身体に力として配布することができない状態です。このため、体を温める力も不足しています。夏に弱い、体重が増えない、体力もないというのも同様に脾胃の力(胃腸の力)の不足です。
脾胃の力をつけ、食べ物からの栄養をしっかり受け取り、めぐらせることができる身体作りを目指します。これにより、少しづつ体力をつけ、妊娠を迎えられるようにしていきましょう。
(証:気虚、脾腎陽虚)
〔伴注:このあたりの書き方は、統一されなければなりません。〕
2)出産に向けて
妊娠後は、赤ちゃんの健やかな成長と、お母さん自身が健康に過ごし、無事に出産を迎え、その後の赤ちゃんとの生活をしっかりとおくれるような身体作りをめざします。
妊婦さんには、腎気を中心とした体の土台を安定させることを中心に、そのうえで、健やかな脾胃の力を発揮できるようにしていきます。暖かく柔らかいお腹作りをしていきましょう。
...治療経過
....初診から妊娠まで
初診から2ヶ月
鍼灸治療を受けると、そのあととても疲れが出るという状態、また日常生活も忙しく、胃腸の調子も思わしくない。
通常のドーゼ(刺激量)だと、刺激過多になってしまうことが判明、刺激量を落として治療頻度を上げることに治療方針を変更。以来週に2回の治療とする。
治療を週に2回にしてから、治療後にだるくなることはない。
初診から8ヶ月
体全体が楽になってきた。胃腸の調子が悪くなり体調を崩すことも特になく夏がすごせた。
....妊娠から出産まで
初診から11ヵ月後
妊娠。
体重38キロ 身長156で病院でも、母体側が大変やせているので、赤ちゃんの低体重児のことで心配された。
鍼灸治療は妊娠前と同様に、週に二回。
妊娠五ヶ月
胎動を感じるようになってきた。順調
妊娠7ヶ月
鉄剤を病院にて処方されている、全体は順調
妊娠9ヶ月の終わり(35w)
体重48キロ、赤ちゃんも推定で2900グラムはあるといわれる。
医師から、『お母さんがこんなにやせているのに、赤ちゃんが充分大きくて驚きですねえ』といわれる。安定している。順調
暖かく、柔らかいお腹。
妊娠10ヶ月(38w)
子宮口が3割ほど開いているといわれる。
赤ちゃんも充分大きく、いつ陣痛が来てもいい状態になっているとのこと。
....出産
先に破水するも、陣痛がついてからはするすると経過、赤ちゃんが大きい割りに軽いお産。
無事に3300グラムオーバーの男の子を出産。母子共に元気。
産院でも、小柄で痩せているのに、赤ちゃんがしっかり大きく元気なことに驚かれる。
母乳の吸い付きもよい。
...やせた方の妊娠について
BMIが18以下のやせた方は、低体重児を産みやすいという統計的なデータがあり、昨今は、体重をある程度増やすようにと指導もされています。
この症例の方をみてもわかるように、やせた方にとって、体重を増やすというのは、簡単なことではありません。もともとの胃弱や、体力のなさ、太れないという体質があるわけですから、体重に着目しその増減を目安にするよりも、体調を整え、体力をあげることを目標に身体作りをしていただきたいと思います。
そして妊婦さんであるわけですから、腎の陽気をしっかり高め、子宮を中心に温かく気血のめぐりのよい身体ですごせるように体調管理をしてあげることが大事だと思います。
本人がやせていらしても、しっかりと腎気を養い、脾気を健やかにすることで、子宮を中心とする暖かく柔らかいお腹ができあがり、赤ちゃんの健やかな養いとなっていくのです。
病院で赤ちゃんが小さめと言われても、どうしたらいいのかわからない方が多いと思います。
しっかりと暖かさがきちんと子宮に届くような気持ちで下腹を暖めることが大切です。暖かいお腹は、柔らかいおなか。胎動もよく感じられるようになりますし、お母さんも、お腹の張りがとれて、楽に感じることができると思います。
...出産から2週間、患者さんからのメール 1
『退院からあっという間に一週間がたってしまいました。
おかげさまで、元気な赤ちゃんと毎日を過ごしています。
不妊治療から出産まで、本当にお世話になり、
どうもありがとうございました。
おととしの12月、家の近くで何か不妊治療のできるところはないかと
ネットで探していたところ、先生のホームページを見つけたのがきっかけでした。
最初に加藤レディースクリニックを勧められたときは、
正直「体外受精なんて…」と億劫でしたが、
通ううちに不妊や身体のご相談をいろいろさせていただき、
少しずつ体調が整って気持ちが前向きになったことで
「秋に挑戦する」と目標を持つことができました。
夏ごろ排卵誘発剤で突然排卵がなくなるというトラブルがあったので、
加藤に通い始めてからも、楽観的になれませんでしたが、
いきなり初回で結果が出て驚きました。
偶然もあるでしょうが、体調を整えていたところでの胚移植がよかったと思います。
妊娠中もたくさんケアをしてもらったおかげで、
ほとんど体調を崩すことなく、妊婦生活を楽しむことができました。
胎動のとても活発な子で、楽しみだったのですが、
本当に元気な子に恵まれました。
産院では「初産で3300gの赤ちゃんでは、お産が大変だったでしょう」とよく言われたのですが、
陣痛が妙に軽くて楽だったので、何だか他の人に申し訳ないくらいでした。
安産は体質もあるかもしれませんが、
いざ出産というときにやはり身体の状態がよい方がいいのではないかと思いました。
破水が先で、先生には二度も来ていただくことになってしまい、すみませんでした。
でも、赤ちゃんの顔を見ていただけたのは、本当に嬉しかったです。
それにしても、旦那にそっくりな子でびっくりしました。
助産師さんにもすぐ分かってしまい、
「旦那さんも痩せているのに、随分大きくて飲みっぷりがいい赤ちゃんですね」と褒められました。
確かにみんなが大きな胸に小さな赤ちゃんを抱いているのに、
私だけ小さな胸に大きな赤ちゃんを抱いていて、
不思議がられていましたよ。
予定日を超過したものと思っていた人もいたようですが、
39週3日での誕生となりました。
「妊娠中、何キロ増えたんですか」と聞かれて
「10キロちょっとです」と答えると、みんなびっくりしていましたよ。
妊娠判定日に体重が37.9キロしかなくて、自分でも大丈夫かと心配したものですが。産院では「高齢初産だし、痩せているから低体重児が…」などと随分注意されたものです。
それがこういう結果になったのも、
先生のところに週に二度も通わせていただいたおかげだと思います。
赤ちゃんがほしいと思ったときに、自然になかなか授からず、
高齢になって不妊治療から始めるのは、確かに辛いことだと思います。
でも、ケアの仕方次第では、身体を損ねることもなく、
思う以上に元気な子を授かれると証明できたと感じています。
本当にありがとうございました。
先生のますますのご活躍と、
先生のところに通っているみんなに元気な赤ちゃんがやってきますように、お祈りしています。』
...私からのお返事メール
『お忙しい中、メールくださりありがとうございました。
私はちょいと感動してウルウルしちゃいました。
そうかあ、初めてお会いしたのは、おととしになるんですね。
赤ちゃんをご希望ということだったんですが、それよりもご本人の
身体の手入れをしなくては!と強く思ったことを思い出しました。
私の週に二回にしてみては?という提案を素直に受け入れてくださり、
がんばって治療を受けてくださったかいがあったなあと私も
しみじみと嬉しさがこみあげてきます。
赤ちゃんが充分に大きいということは、今後の子育てにとってもとても
大きな手助けになると思います。まあ、抱っこして重いでしょうけど(;^^
楽しんで子育てしてくださいね。
それから、いまは、まだ、気が張っているかと思いますが、産後1、2ヶ月たっ
たころにどっと疲れが出ることがあります。特に夏の出産ですしね。
漢方薬がよく効く場合があります。母乳が出ているときなので、お薬を飲
むのは抵抗があると思いますので、ネットで調べたり、漢法薬局で相談してみてくださいね。母乳にもよい漢方薬がありますよ(^^)
それでは、また。』
...患者さんからのメール 2
『こんにちは。
先日はお忙しいのに早速お返事をくださって、ありがとうございました。
それにつけても、本当に身につまされることがいっぱいでして…。
実は、退院してほんの3日でいきなり蕁麻疹が出て、まだ育児ストレスには早いし、
「11日以来先生のところに行っていないから、もう疲れが出たかな」と
考えてしまいましたよ。
授乳中なので、これには気長に付き合うしかないようですが、
とにかく胃腸が丈夫で、たくさん食べられるので体力的に助かっています!
出産のときは、たまたま同じときに分娩室に入った人がいました。
私は破水で、その人は予定日超過で陣痛促進剤を投与していたのですが、
向こうのほうがとても強い陣痛が早くからきていて、大変そうでした。
でも、後から軽い陣痛が来た私のほうがあっさり出産して、
その方は母子ともに弱ってきたらしくて、帝王切開になってしまいました。
翌日、産まれた赤ちゃんを見つけました。
保育器の中の、とても小さな女の子でした…。
後日、「○○さんって、すごい安産でしたよね。隣で、びっくりしたんですよ」と
そのお母さんに声を掛けられました。
お腹がまだ痛そうで、「本当に大変でしたねぇ」と私は返したものの、
一歩違えば他人事でなかったかもしれません。
もしかすると、私も赤ちゃんが小さくて、
こういうことが起こりえたかもしれないなとつくづく思いました。
不妊治療で悩んでいる方はもちろんですが、
赤ちゃんが小さい方のケアも、ぜひたくさんしてあげてくださいね。
よろしくお願いします。
ちなみに、旦那にそっくりの赤ちゃんですが、
外見だけかと思いきや、ある深夜の授乳の後に、
ふと、並んで旦那と赤ちゃんが寝ている姿を見てびっくり。
暑い日とはいえ、お腹を出していて、両手両足の投げ出し方まで全部一緒!
ただひとつ違うのは、顔がお互いのほうを向いていること。
思わず噴出しそうになりました。
これが家族なんだなあ、家族っていいなあ、とほんわかしました。
赤ちゃんを得るために努力したこともすべて含めて、
わが子はやっぱり素敵な宝物です。
本当にお世話になり、ありがとうございました。
すっかり長文になってしまって、すみません。
そろそろ育児に戻りますね。
それでは。』